【A-PADフィリピン】「緊急医療」をテーマとした国際シンポジウムを開催
2025.09.18
9月17日、A-PADフィリピンはマニラ市のグランド・ウエストサイド・ホテルにて、国際シンポジウムを開催しました。
「緊急医療」をテーマとした本シンポジウムは、令和6年度日本NGO連携無償資金協力・フィリピン事業の一環として実施したものです。
シンポジウムには、在フィリピン日本大使館、日本やインドネシアの災害医療実践者、保健省、WHOに加え、大学や企業など、これまでのN連事業を通じてA-PADフィリピンが連携してきたパートナー団体が参加しました。
在フィリピン日本大使館の遠藤大使からは、
「A-PADを国際協力局長時代からずっと応援してきた。A-PADフィリピンの各地での防災、医療、ボランティアによる地道なパートナーシップ構築に基づいた対応は素晴らしく、日本の大震災の経験が活かされている」と挨拶が述べられました。
パネルディスカッションにはインドネシアや日本の災害医療実践者、保健省、WHO、フィリピン災害復興基金(PDRF)が参加。それぞれの立場や経験から意見が交わされ、平時の訓練、医療機材や人材、物資などのリソースの割り当て、信頼関係構築の重要性が確認されました。
日本から参加したピースウィンズ・ジャパンの医師・稲葉基高氏からは、
「トルコやミャンマーの災害現場における急性期の活動経験から、現地パートナーの有無が活動の精度に関連する」と意見が述べられました。
南フィリピン医療センターの医師・Benedict Edward Valdez氏は、医療の国際基準・地域基準の違いに関するファシリテーターからの質問に対して、
「設備や機材の地域格差は確かにあるが、災害現場では患者を救うこと、早期回復を促すことが何よりも優先されるべき基準である。そのために日ごろから技術や経験、知識、ネットワークを高める必要がある」と力強く話されました。

インドネシアから出席したアイルランガ大学の医師・Airi Mutiar, dr., M.Ked.Klin氏からは、
「災害医療は孤独に行うものではなく、地域や分野を超えたパートナーとともに対応するものである。今回、A-PADのシンポジウムに招待いただきありがたい」と感謝が述べられました。
また、複数名の専門家や医療従事者からは、「災害現場の医療を支えるのは救出用のゴムボートや資機材の整備を含む物流に加えて、患者受け入れ先の病院のキャパシティの把握と調整である」とコメントが述べられました。
本シンポジウムを通じて、さまざまな角度から「緊急医療」の知見を深めるとともに、国や立場を超えて災害現場で尽力する人々のパートナーシップ強化を図る有意義な機会がもたらされました。








