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【A-PADバングラデシュ】8管区で運営する「緊急災害管理調整センター」の現在地

2025.03.21

 

A-PADバングラデシュが運営し、災害・防災情報を共有する地域のリソースセンターとして機能する緊急災害管理調整センター。バングラデシュ8管区(バリサル、チッタゴン、クルナ、シレット、ダッカ、 ラジシャヒ、ロンプール、マイメンシン)に設置され、普段は会議や研修、ワークショップの会場などとして地域の人々に利用されています。そして、災害時には連携するDCHT(ダッカ・コミュニティ・ホスピタル・トラスト)やパートナー団体、NGO、民間組織、自治体などの医療従事者と連携して医療・保健分野の緊急対応にあたっています。

 

A-PAD東京事務所(日本)のスタッフが3月15日、首都ダッカにある緊急災害管理調整センターを訪問し、事業開始から3年目を迎えた「マルチセクター災害対応プラットフォームによる持続的な災害管理ネ ットワークの能力強化事業」の進捗を確認しました。

 

Center staffs and Sachiko

 

 

緊急災害管理調整センターに常駐するスタッフ3人は、周辺のスラムを中心に地域を巡回訪問し、地域住民に対する防災・保健・衛生に関する啓発活動を行っています。センターでは医療行為はしませんが、必要な情報を提供したり、会議や研修の開催、パートナー団体や自治体との調整を行ったり、災害発生時に迅速に対応できるようネットワークづくりに尽力しています。

 

monitoring 4

 

同センターのスタッフによれば、「数年前にセンターを開設した当初、スラム街の住民は物的な支援を求める声が多く、私たちの活動の重要性が伝わらないこともあった。でも少しずつ防災や防火、衛生環境といった点の改善の必要性を理解してもらえるようになり、手ごたえを感じている」と語ります。

 

最近では、スラム街近隣で米蔵を運営する人が「どのようにすればスラムでの火災を防げるか」と相談に来たため、対策について議論。火災が発生した場合、すぐに対応してもらえるよう、地元の消防署や警察署に直接つながる番号を共有し、関係者間での情報把握の徹底を提案しました。

 

 

②local NGO

 

 

また、近隣のNGOや民間の企業とのつながりも生まれています。この日はラマダン中で、スラムで食品配布の支援活動をしている地元のNGOから活動状況を聞くとともに、同じくパートナー団体のDCHTが提供する物資を配布してもらう計画の相談をしているところでした。

 

健康問題についての相談も増えています。例えば、「家族全員が発疹に悩まされている」という青年の相談に対し、センターでは薬の使用方法や洋服を毎日きれいに洗うように伝えるなど衛生面の指導や情報共有を行いました。また、妊娠後期の妊婦さんから「胎児の向きが正常でないため帝王切開が必要になると医師に言われ、不安になっている」という相談が寄せられた際には、パートナー団体の医療機関に相談。支援が可能かどうか調整を行うなど日頃のネットワークを生かして、できる限り地域の人々のニーズに応えられるよう努めています。

 

 

※本事業は、日本外務省NGO連携無償資金協力「マルチセクター災害対応プラットフォームによる持続的な災害管理ネットワークの能力強化事業」により実施しています。