【A-PADスリランカ】教材支援先の学校と復興を遂げたビール会社を視察
2024.02.29
2月上旬、A-PADの日本人スタッフがA-PADスリランカの事業地を視察しました。その一部についてレポートします。
東部州の子どもたちへ教材を支援
A-PADスリランカの事業は、首都コロンボ以外では災害に脆弱で貧困層の多い北部州、東部州、ウバ州、南部州を対象としています。
2月初旬、現地モニタリング出張では、特に貧困層が多いとされる東部州トリンコマリーの学校(Sumedangara Maha Vidyalaya, Sharmaraja Maha Vidyalaya)を訪問し、5年生向けの教材を提供しました。
スリランカでは、初等教育最後の年にあたる5年生(10歳)は、奨学金を獲得してより良い学校へ行くための試験を受けることができますが、経済的な事情で受験勉強用の模擬試験問題集を購入できない生徒が多くいます。通常の教科書は国から無償提供されていますが、受験のための教材は個人で調達する必要があり、裕福な都市圏の家庭と地方の貧困家庭の子どもの教育格差が生まれています。また、教科書はシンハラ語かタミル語のいずれかで、地方で英語を勉強する生徒はほとんどいません。スリランカで、英語は大学などの高等教育を受けた人が使う言語であり、コロンボと他地方州の教育の格差は歴然です。
今回の支援は、「貧しい家庭に生まれても優秀で勉強熱心な子どもにはより良い教育の機会が失われないように」と実施されました。支援先の教育機関や先生方からは、東部州の教育レベルの向上のためにも「教材の継続的な支援をしてほしい」と期待されています。
浸水被害から復興したビール工場を視察
2月8日、A-PADスリランカが企画したビール工場の視察会に参加しました。
コロンボから北東約20キロに位置するBiyagama(西部州Gampaha県)にあるビールの老舗企業、Lion Breweryの本社・工場は、2016年の大雨・洪水で甚大な浸水被害を受けました。
Lion BreweryシニアバイスプレジデントのDr. Salgado氏 のプレゼンテーションでは、危機管理の重要性とともに管理職の迅速な対応の必要性が示されました。同じ場所でビジネスを再建するにあたっては、地域の河川の動きの再調査、止水版の設置、事務所と工場の敷地の整理、BCPの見直しなどを同時並行で進めたと言います。経営陣はもとより全てのスタッフが尽力して、現在の再建に至ったことがわかりました。