Select Language :

最新ニュース

【A-PADスリランカ】初の民軍共同レスキュー訓練を実施

2017.12.08

スリランカの首都コロンボから南へ約139キロ。スリランカ空軍(SRAF:Sri Lanka Air Force)が拠点を置くコガーラで、11月19日から3日間、A-PAD とA-PADスリランカ主催のレスキュー訓練が実施されました。参加したのは、SRAFをはじめとする軍関係者や災害支援にかかわる民間団体のボランティア、A-PAD加盟国のスタッフら合わせて50人以上。

スリランカでは、過去2年間、大雨による水害が多数発生しており、特に今年5月に発生した洪水では救助にあたっていた8人を含め、数百人が亡くなりました。そこで、水害から一人でも多くの命を救うため、スリランカ初の軍・民共同のレスキュー訓練を実践する運びとなりました。

20171119-LEE_7130-1

20171119-LEE_7327訓練では、民間団体所属のレスキューリーダーと台湾から3名の専門講師を招くとともに、SRAFや防災センター(DMC:Disaster Management Center)、民間ボランティア団体とも協力しています。2日目には、ヘリコプターを利用した人命救助や水害シミュレーションの訓練を実施。3日目には水害時に本部と現場、医療機関などのスタッフがどのように連携できるかを想定した調整シミュレーションの訓練を行いました。

DMCのアシスタントディレクター、チャトラリヤナラッチ氏は「国連の国際捜索救助諮問グループ(INSRAG)のガイドラインに定められた基準を満たすためにも、今回の民軍共同訓練は重要な一歩となる。次の災害で多くの命を救うため、訓練を通じて技術と知識をしっかり身につけていこう」と呼びかけました

また、訓練の講師を担った台湾の黄氏は「救助隊員は自分の命と無関係に被災者を救うことはできない」と各隊員それぞれの安全確保の重要性を強調。「厳しい訓練を続けてきた人こそが、緊急事態にも対応できる」と、ロープを使った救助訓練のほか、スリランカライフセービングとSRAFから提供されたボートを活用した洪水シミュレーション訓練を展開しました。4つのグループに分かれて実施した訓練は、本格的かつ実践的なものとなりました。


20171121-_2190628-1    20171121-_2190713-1

スリランカの民間団体「アイアンマン4×4」のボランティア、サム・チャンドラソーマ氏は、3日間を振り返り、「災害時に安全に人命を救う方法を学ぶ絶好の機会となった。特に日々訓練を積んだ軍から学んだことは多かった。私たち民間のボランティアチームができるのは軍隊では手が届かない領域の支援。災害時に最前線に立つために、これを機に改めてチームを再結成したい」と話しています。

20171121-LEE_8105     20171121-LEE_8095-3

様々な被害が想定される現場で実際に対応できるかどうかは、こうした訓練の積み重ねによって大きく変わります。A-PAD始まって以来初の民軍共同の訓練をスリランカで実施できたことは、今後ますます大きな災害が予想されるアジア太平洋地域において大きな一歩となりました。

本事業は笹川平和財団の助成事業です)