A-PAD設立10周年記念フォーラムを開催しました
2023.03.01
A-PADは、このたび設立10周年を迎え、2月28日、10 年の活動の成果と次の10 年に向けた取り組みについてお伝えする国際フォーラムを開催しました。会場となった東京・国際文化会館には、A-PAD加盟6カ国の企業、政府、自治体、NGO、メディアなど100人以上が集まりました。当日の模様はオンラインで配信され(英語版のみ)、 後日ホームページで公開予定です。
A-PADは、2012年10月にインドネシアで開催されたアジア防災閣僚級会合(AMCDRR)で設立を発表。以来アジア6カ国で災害支援のプラットフォームを構築し、近年では各国におけるコロナ対応やトンガ地震津波、2月6日に起きたトルコ地震でも緊急支援を行っています。そして、日本の官民連携の人道支援・災害対応のモデルをアジア各国と共有し、各地で近年頻発している災害に対応する仕組みを構築してきました。
フォーラムでは、まずA-PAD理事長のカズィ カムルズザマン(医師)が、10周年記念フォーラム開会の挨拶として、来場者のみなさまに謝辞を述べました。
オープニングでは、「NGO/NPOの戦略的あり方を検討する会」の座長を務める逢沢 一郎衆議院議員、塩崎 恭久 元官房長官、アジア太平洋災害支援議員フォーラム事務局長の河野 太郎 衆議院議員、武井 俊輔 外務副大臣の4人が登壇。
UNHCR国会議員連盟や日本・ミャンマー友好議員連盟の会長も務める逢沢議員は「国際緊急人道支援はNGO /NPOが主役の一角を占める時代。日本も欧米の組織や国連と同レベルで活動できるようになるのではないか。10周年を迎えたA-PADが災害だけでなく難民支援の分野でも活躍することを期待したい」と語りました。
塩崎前議員は「長年、A-PADの誕生とその発展を近くで見守り支援し続けてきた。日本初のアジア太平洋地域でつくる国際機関の構想は、当初、周囲に驚かれながらも発足につながる提案をした。これまでA-PADは国際的な災害緊急援助に貢献し今回のトルコ地震でもいち早く動いたが、今後は台湾との連携などさらなる飛躍を願っている」と期待の言葉を述べました。
また、河野議員(デジタル大臣・内閣府特命担当大臣)は、熊本地震の際、防災担当大臣だった自身の経験を踏まえ「当時、外国から訪日して被災された方に正確な被害状況や被災生活支援情報などをいかに伝えるか難航した。今、デジタル庁では防災DX官民共創協議会を立ち上げ、国と自治体の枠を超えたデジタルシステム整備を念頭に置いているが、さらに海外との民間システム連携を利用するなども検討している。A-PADにはこの10年を通過点として20、50、100年とさらに飛躍してほしい」とエールを送った。
続いて武井副大臣は「A-PADは外務省からの拠出金と助成金を投じて災害時の緊急支援やコロナ対策活動など数多くのプログラムを実施してきた。災害支援のハブとして、災害の多いアジアにイノベーションをもたらす日本発祥の取り組みであり、10年の実績は努力の賜物である。災害や感染症など世界の課題について、各地域のNGO、政府、企業などが連携し、国境を超えた国際災害支援協力の枠組みづくりを通じて、さらなる活躍を期待したい」と強調した。
(外務省ホームページに紹介されました 「ODAと地球規模の課題」https://www.mofa.go.jp/mofaj/ic/ngoc/page1_001519.html)
続くパネルトークでは、「Beyond Disaster Management~アジア太平洋を連携で進化させるために」をテーマに、外務省国際協力局長の遠藤 和也さん、笹川平和財団常務理事の茶野 順子さん、関西学院大学教授の村尾 信尚さん、A-PAD CEOの 大西 健丞、A-PAD COO(A-PADスリランカ代表)のフィルザン・ハシムが登壇。ファシリテーターは国際社会経済研究所 理事長の藤沢 久美さんが務め、災害をはじめ貧富の格差や社会の分断、気候変動、感染症など世界が抱える課題を、連携を重ねることでどのように解決していくか、議論しました。
トークの中で、茶野さんは「10年以上前に財団がA-PADへの支援を決めた理由は、外からやってくる支援のプロと地域に精通する被災地域の人々が連携して一緒に活動することで効果的な支援ができるから。アジアの未来をつくろうという心意気と実践力にひかれた」と振り返ります。
また、村尾さんは、ジャパンプラットフォーム設立時の思いを振り返るとともに、「A-PADは『Beyond Disaster』ではなく、『Beyond Nation』『Beyond States』へ。平和を求める私たちの声は一つだ」と期待を込めました。
遠藤さんは「A-PADのセクターを超えた連携の実践は意義深く、外務省としても注目している。各国のナショナルプラットフォームが地域の結びつきを強め、“日頃の備え”について実践を積み重ねているA-PADは、今回のトルコ地震でもいちはやい対応を行った。外務省では現在、ODAの開発協力大綱の見直しを行っているが、複合的な危機に対応するためには、多様なアクターが連携して対応しなければならない」と強調しました。
大西は、今後のビジョンについて、地震や水害の対応だけでなく噴火のリスクにも対応していく必要性を強調。そして、災害対応だけでなく紛争や難民支援の面でも一層、力を入れて取り組んでいきたいと語りました。
次に各国からA-PAD10周年にむけて、ビデオメッセージが寄せられました。その後、10周年記念贈呈式と感謝状贈呈式を実施しました(A-PADアワードの受賞者に関する詳細はこちら https://apadm.org/japanese/news/7195/)。
感謝状授与式の様子。右から2番目より順に、外務省の伊藤直樹 特命全権大使(広報外交担当兼国際保健担当、メコン協力担当)、笹川平和財団の茶野順子常務理事、経営ストラテジストの坂之上洋子さん。