【熊本地震】発災から1カ月、長引く避難生活を支えるために
2016.05.15
相次ぐ地震の影響で多くの住宅が被害を受けた熊本県では、今も1万人以上の方が避難生活を続けています。
緊急合同支援チーム(A-PADジャパン/Civic Force/Peace Winds Japan)が活動する益城町では、町内3カ所のグラウンドで仮設住宅160戸の建設が始まり6月中旬には完成する予定です。県が民間の賃貸住宅を借り上げて無償で提供する「みなし仮説住宅」の受付も始まりました。しかし、少なくとも1000棟が全壊した益城町では、9日午前時点で15カ所の避難所に3728人(益城町災害対策本部)が生活し、これ以外に車中泊を続ける人も多くいます。
避難生活の長期化が予想される中、チームは現在、総合体育館横の芝生広場(39世帯・149人・59匹)と、再春館ヒルトップ(19世帯・56人・29匹)の2カ所でテント村を設置・運営しています。
なかでも朝9時から17時まで毎日オープンしている総合体育館横・芝生広場のカフェは、避難者の方々の声を聞いたり、避難者同士の交流スペースとして定着しつつあります。また、テント生活が少しでも快適になるよう、ヒルトップ・テント村では、シャワー室やトイレ、洗濯機、遮熱シート、地デジアンテナなどを設置し、ペットの預かりも開始しています。
天候や状況に応じて変わる様々なニーズに対応しながらの運営は一筋縄ではいかないこともありますが、こうした活動を支えているのが、全国から駆けつけてくれた社会人ボランティアの皆さんの存在です。
公益財団法人佐賀未来創造基金を通じて、4月29日から10日間にわたって、益城町でテントの設置やカフェの運営に携わった永田千代美さんは、障がいを持つ子どもたちのケアをする仕事を続けており、2011年3月の東日本大震災後、福島で被災地の支援活動にあたった経験があります。熊本では、避難者の方やペット連れの家族などに声をかけながら、スタッフの一員として積極的かつ柔軟にボランティア活動を続けてくれました。
また、永田さんと一緒にカフェの運営に携わった中野生子さんは、長野県にある全寮制のインターナショナルスクール「ISAK」で働いています。世界中の生徒たちが集う学校の運営に携わり多忙な日々を過ごす中、今回、特別に長期の休みをとって熊本でのボランティア活動に参加してくれました。
テント村で生活する人たちのコミュニティースペースとして定着し始めたカフェで、避難者の方々のたくさんの悩みを聞いた中野さん。「自宅が半壊・全壊しても不平不満を言わない辛抱強い県民性を感じましたが、カフェでは震災がなければ浮き彫りにならなかった家族の問題や避難者同士のトラブルなどさまざまな悩みを聞きました。一人一人の問題をすべて解決することはできないけれど、多様な企業や個々人とのつながりを生かして柔軟に活動する民間の災害支援の意義を知った。チームの一員として動くことができ、学ぶことが多かった」と言います。「熊本とのつながりはこれで終わりでなく、これからも被災地や被災した方に対して何ができるかを考えて行動し続けたい」と心強いメッセージを残してくれました。
地震発生からもうすぐ1カ月。未だ多くの方が自宅に帰れないなか、一人一人が少しでも前に進んでいけるよう、引き続き熊本の被災地に身を置き活動していきます。今後ともみなさまのご関心をお寄せください。