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【A-PADスリランカ】ジャフナ州に提供した雨水タンクをモニタリング

2022.09.11

今から6年前の2016年、A-PADは、飲料水の整備が遅れていたスリランカ北部のジャフナ州ケイツ島で、各世帯に雨水を活用したタンクを提供しました。それから6年が経過した2022年9月、日本人スタッフが現地でモニタリング調査を実施しました。

9月上旬にスリランカを訪問した岸川がレポートします。

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各世帯の軒先の雨どいと連結して設置されたタンクは、接続部分に若干修理跡がいくつか見られたものの、十分機能し活用されていることが確認できました。タンクの導入当初は、ろ過・沸騰させて飲料水として利用されていましたが、今は軍機関から毎日20Lの飲料水が配布されるため、タンクで溜めた水は主に生活用水として利用されています。

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「子どもたちへの教科書は無償配布されていますが、紙やペンがなく学校に行けなくなってしまった子どもが増えています」。こう話すのは、キリストアラサール協会のタヤカラン牧師。キリスト教信者のタミル人からなるコミュニティは、教会を中心に築かれており、地域の事情をよく知る方です。

スリランカは、1983 年から2009 年までシンハラ民族主義と少数民族のタミル独立運動との抗争が約26年間続き、近年まで漁業を中心に栄えた国でした。しかし、戦争後は外からドラッグが入り精神的に病む人々が増加、中央政府からの支援も少なく少数民族であるタミル人へのサポートや配慮は決して多くはありませんでした。A-PADからのタンクの提供はとても喜ばれましたが、人々の生活環境はとても過酷です。

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スリランカはコロナとウクライナ危機の影響で、2022年に経済破綻と政権交代があり、食料やガソリンが高騰。漁業者は船が出せず、料理は薪を拾い集めてなんとかしのいでいますが、家の中は換気扇もなく、煤が充満する家の中で真っ黒になりながら料理をしていることが容易に想像できました。

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訪問した地域は、十分に教育が受けられない貧困層が多く、地域を変革していく地元出身の人材が育つ可能性は極めて低く、過去70年間に大学へ進学したのはたった2人だけ。海外の親類からの支援で卒業したそうですが、もっと多くの子どもたちが学校へ行って勉強し、未来に希望を持てるような教育が必要だと思います。