Select Language :

最新ニュース

【スリランカ北部豪雨】内戦の爪痕残る被災地

2019.01.24

2018年12月22日、発達した低気圧の影響によりスリランカ北部州で大雨洪水が発生しました。キリノッチ県とムッライッティーヴー県で約11万人が被災し、約5,000家屋が全壊・半壊の被害に見舞われましたA-PADスリランカは、即座に情報収集を開始し、キリノッチ行政からの要請を受けて、妊婦用と乳児用の救援キット、各50個を配布しました。

スクリーンショット 2019-01-24 10.16.04

 

2019年1月20日、日本から訪れたA-PADの担当者は、A-PADスリランカのスタッフとともにコロンボから鉄道で6時間のキリノッチ県を訪問しました。ピーナッツ農家の被災者の一人は、「大雨の注意報はラジオで聞いてはいたが、とにかくあっという間に大雨となり、水が膝下まで浸かってきたので、家族で近くのコミュニティハウスへ避難した。途中80歳の母親は転んで骨折してしまい、今は寝たきりとなってしまった。ピーナッツ畑も全滅状態。畑を再開するには土を掘り起こして最初から作り直すしかないし、家も次回に備えて土地を高くしてから建てる必要もある」と話しています。この男性は、国からの支援金を待っていますが、すでに家の柱を立てるための穴を掘るなど、少しでも節約しようと努めています。約3週間避難していたコミュニティハウスは、普段は住民の寄合所として使われていますが、屋根とコンクリートの床があるだけの吹きざらしの建物で、避難中は簡単なマットを敷いて生活していたといいます。シャワーと食べ物は近くで配給されたというそうです。

特に被害の大きかった地域は、30年ほど前、政府軍とテロ組織「LTTE(タミル・イーラム解放のトラ)」と争いで内戦を経験した場所の一つです。今回の水害は、両者の境界線に政府が打ち込んだ爆弾を除去するために掘り起こした土地で、周囲に比べて低くなっていますが、灌漑や排水も施されておらず、被害拡大の大きな要因になったと推測されます。

 

スクリーンショット 2019-01-24 10.16.15

避難所となったコミュニティーハウス

スクリーンショット 2019-01-24 10.16.24
膝の高さまで水が達した跡が残る
 スクリーンショット 2019-01-24 10.16.33
全滅状態となったピピーナッツ畑